PBPKモデルで示す、脳を標的とする抗ウイルス薬の血漿EC90倍率が一定でない理由

  • 抗ウイルス薬の用量設定では血漿トラフ値をin vitro EC90の一定倍以上に保つ手法が多用されるが、その倍率は経験的に決められ、脳など移行が制限される部位は考慮されていない。
  • ラットのニルマトレルビル血漿データから母集団PKモデルを作成し、LeiCNS PBPKプラットフォームに組み込んで、ラット脳脊髄液中濃度で検証した。
  • シミュレーションでは、血漿中非結合率と非結合型の脳・血漿分配係数が必要倍率を主に左右し、一律の基準ではCNS標的で曝露不足になり得ることが示された。
💡 ポイント

抗ウイルス薬にEC90の固定倍率を一律に当てはめるのは血漿中心の近道で、脳標的ではKp,uuの問題が隠れる。非結合型の脳・血漿分配が1を大きく下回れば(ニルマトレルビル類のペプチド模倣薬ではP-gp排出が有力な疑い先)、血漿トラフが基準を満たしてもCNSは曝露不足のままになり得る。ただ検証はラットCSFのみで、CSFは脳実質の代理指標として不完全。ヒトへの外挿は未確認だ。

Plasma EC90 multiples are drug, target site and species specific—A physiologically based pharmacokinetic modelling example of nirmatrelvir central nervous system distribution ↗