クロザピンとD-サイクロセリンの併用が逆効果となる理由:ラットNMDA機能低下モデルでの過剰なシナプス外グルタミン酸伝達

  • NMDA受容体の機能低下を模してMK-801を長期投与したラットでは、眼窩前頭皮質で刺激誘発性のグルタミン酸とD-セリン放出が弱まり、GluN2A/GluN2Bの発現も低下した一方、安静時の細胞外濃度は上昇し、快楽消失様の行動が見られた。
  • クロザピンまたはD-サイクロセリンの単独投与は、安静時濃度や受容体発現を変えずに、行動と誘発放出を回復させた。
  • 両者を併用すると、安静時濃度と受容体発現がさらに上昇して行動は悪化し、メマンチンの追加でこれが打ち消された。
💡 ポイント アブストラクトに基づく見解

注目すべきは回復効果よりも併用のリスクだ。誘発放出が弱まる一方で安静時の細胞外グルタミン酸が上がるのは、いわばS/N比の問題であり、抗精神病薬にNMDA共作動薬を重ねる設計には慎重さが要る。足りないのは併用の用量反応と、メマンチンの効果が慢性投与でも保たれるかという点で、MK-801ラットは統合失調症の粗い代替モデルにすぎない。

Development of glutamatergic antipsychotics requires efficient synaptic glutamatergic transmission while preventing NMDA receptor down‐regulation and overactivation of extrasynaptic transmission ↗