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2026-10-20 のダイジェスト

2026-10-20

本日はサイエンス5件:細胞内曝露で読み直すPROTACの標的結合、脳移行性PARP1選択的阻害薬、共有結合型エポキシスクシナートPLpro阻害薬、ISG15–UBA7のAlphaLISAスクリーニング、キナーゼ阻害薬のプロトン化状態。業界ニュースはGileadの経口UC薬データと、Merck KGaAによるSilence買収です。

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メドケム

4件

エポキシスクシナミド弾頭はPLproに強力だが、ヒドラジドリンカーが代謝の弱点に

  • Cys-111と反応するエポキシスクシナミド弾頭に、非共有結合型阻害薬で用いられるBL2溝への結合要素を組み合わせ、共有結合型PLpro阻害薬を設計した。
  • 化合物は非常に高い酵素活性を示し、培養細胞でウイルス力価を大きく低下させた。
  • 柔軟なヒドラジドリンカーは肝臓のカルボキシルエステラーゼで分解され、代替リンカーも奏功せず、代謝面が制約となった。
💡 ポイント

強力な弾頭が肝臓で壊れるのはよくある話だが、ここでは壊れるのがCys-111に届かせるために必要なリンカーそのものだ。次のコロナウイルスに備えてエポキシスクシナミドは手元に置いておきたい。ただ、最初に作り直すのはリンカーだろう。

Discovery of Epoxysuccinates as Potent Covalent Inhibitors of SARS-CoV-2 Papain-like Protease ↗

サルパリブのカルボキサミドを置換し、経口・脳移行性のPARP1選択的阻害薬を創出

  • 脳腫瘍を狙い、サルパリブのカルボキサミドを各種複素環に置き換え、血液毒性を抑えるためPARP2よりPARP1を選択的に阻害する化合物を探索した。
  • 通常のMDR1-MDCKではなくCaco-2排出を選別指標に用い、脳内の非結合型曝露が良好な化合物を選んだ。
  • 選ばれた化合物は経口バイオアベイラビリティを示し、低用量の異種移植モデルで腫瘍退縮を示した。臨床用量も低く見積もられている。
💡 ポイント

一次カルボキサミドの置換は大胆だ。この基はニコチンアミドポケットのアンカーなので、複素環で結合が保たれたのは見どころになる。もっと使えるのは選別法で、Caco-2排出のほうが脳内非結合型曝露をよく反映するなら、他のCNS創薬でも良い化合物を落としているかもしれない。

Discovery of Potent, Orally Bioavailable, and CNS-Penetrant 1,2,3-Triazolopyridinyl Piperazine-Based PARP1-Selective Inhibitors ↗

PROTACの標的結合のばらつきは、E3認識よりも細胞内曝露の差が大きい

  • E3リガンド、リンカー、標的リガンドが異なる20種のPROTACを、セレブロンおよびVHLトレーサーに対する細胞内NanoBRET競合アッセイで評価した。
  • 添加濃度基準では見かけの活性が大きくばらつき、受動的なCaco-2透過性ではほとんど説明できなかった。
  • 実測した細胞内非結合型曝露で補正するとばらつきは大幅に縮小し、膜透過処理した細胞での値と一致した。
💡 ポイント

PROTACのSAR表をE3親和性の差として読む前に、細胞が実際に見た濃度を確かめたくなる。ばらつきの大半が非結合型曝露なら、活性向上に見えたリンカー修飾は透過性の改善にすぎないかもしれない。曝露を早期に測れば、見当違いの変数を追わずに済む。

Exploring the Relationship between Cell Permeability, Intracellular Exposure, and Target Engagement for PROTACs ↗

AlphaLISAスクリーニングでISG15–UBA7相互作用の阻害剤探索が可能に

  • ISG15とそのE1酵素UBA7はISG化を担い、がんの治療抵抗性との関連が指摘されるが、阻害薬はまだない。
  • 著者らはISG15–UBA7相互作用を測るAlphaLISAアッセイを構築し、ハイスループット向けの頑健性を確認した。
  • 小規模ライブラリーのパイロットスクリーニングでヒットが数個得られ、うち2つは細胞内でもISG化を低下させた。
💡 ポイント

対象は千化合物に満たないパイロットなので、ヒットは出発点にすぎずリードではない。大事なのは、ユビキチン様修飾因子とE1のタンパク質間相互作用がスクリーニング可能な形になった点だ。実際の多様性ライブラリーで回し、AlphaLISA干渉物のカウンタースクリーンを徹底したい。

A High-Throughput Screening Platform for the Discovery of Noncovalent Inhibitors of the ISG15–UBA7 Interaction ↗

💻

計算・AI創薬

1件

MCCE計算が示す、キナーゼ阻害薬は結合時にプロトン化・互変異性状態を変えうる

  • 9種のキナーゼドメインと承認済み阻害薬18種による37の共結晶構造に、多コンフォメーション連続体静電計算(MCCE)を適用した。
  • 結合してもタンパク質の正味電荷はほぼ安定だが、阻害薬の電荷状態は頻繁に増減した。
  • 溶液中でほぼ同程度に存在する2つの互変異性体が、結合により1つに絞られ、数kcal/mol規模のエネルギー差が生じうる。
💡 ポイント

多くのバーチャルスクリーニングは、固定した1つのプロトン化状態を暗黙の前提にしている。承認薬でさえそれがkcal/molの誤差になりうるという。互変異性を起こす複素環を持つ骨格がSARで外れた挙動を示したら、ポケットを疑う前に結合状態の互変異性体を確かめたい。

Kinase Inhibitors can Change Protonation or Tautomeric State upon Binding ↗

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業界ニュース

2件

Gileadの経口エンビステグラスト、潰瘍性大腸炎の第2相で主要評価項目を達成

  • Gileadの1日1回経口α4β7インテグリン阻害薬エンビステグラスト(GS-1427)が、潰瘍性大腸炎の第2相SWIFT試験で主要評価項目を達成した。
  • 200 mg群では12週時の臨床的寛解率がプラセボの約3倍で、名目上の有意差があり、忍容性も良好だった。
  • STATの記事は有料のため、数値はGileadの発表に基づく。
💡 ポイント

注射のベドリズマブに対する経口版という位置づけは分かりやすく、プラセボ補正で約23ポイントの寛解率は第2相として信頼できる。ただしp値は名目上で群も小さい。経口の利便性が実を結ぶかは、この結果ではなく第3相と、Takedaの確立した生物学的製剤の牙城次第だ。

Gilead’s IBD drug eliminated symptoms for patients, mid-stage study finds ↗

Merck KGaA、siRNAの第2相成功を受けSilence Therapeuticsを約13億ドルで買収

  • Merck KGaAは、1ADSあたり20ドルの全額現金で、英国のスキーム・オブ・アレンジメントによりSilenceを買収する。株式価値は約13億ドル。
  • 価格は直前終値に130%のプレミアムを上乗せしたもので、Silenceは競争的な売却プロセスの結果だと説明した。
  • 背景には、真性多血症を対象とするSilenceのsiRNA、ディバシランの第2相での良好なデータがある。
💡 ポイント

中期段階の単一資産に130%のプレミアムを払うのは、品揃えではなく、リスクが下がった希少血液疾患のデータと実証済みのプラットフォームを買っているということだ。Merck KGaAは成長の穴を埋める必要があり、siRNAはそこに収まるモダリティになる。Silenceの基盤が独立したエンジンとして残るか、ディバシラン専用になるかが焦点だ。

Merck KGaA buys Silence in $1.3B deal after siRNA drug's phase 2 blood cancer win ↗