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2026-10-06 のダイジェスト

2026-10-06

本日はサイエンス4件。NSD2/GSPT1分解薬の選択性を原子1つで切り替えた研究、眼向け光活性化VEGFR2阻害薬、AML向けFTO阻害薬、pan-YTHDF型m6Aリーダーのリガンドを取り上げます。業界ニュースはCSLとAlentisの提携、塩野義のIntraBio買収、GenmabのRina-S第2相データ、ジャイプリカの1次CLL承認の4件です。

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メドケム

4件

構造ベース設計でpan-YTHDF型m6Aリーダーの高活性リガンドを創出

  • YTHDF1、YTHDF2、YTHDF3は細胞質でm6A修飾mRNAを読み取るタンパク質で、このプレプリントはそれらを標的にしたタンパク質構造ベースの創薬化学研究を報告しています。
  • 狙いは、リーダーを1つずつ狙うのではなく、3つのパラログすべてに結合するリガンドです。
  • アブストラクトの冒頭部分のみ確認できたため、活性や細胞データは本稿では扱っていません。
💡 ポイント

YTHドメインの芳香族ケージは電荷を帯びた攻めにくいポケットなので、構造に基づく前進は追う価値があります。3つのリーダーの冗長性を考えれば、パラログ全般に効くリガンドは理にかなった選択です。プローブと呼ぶには、YTHDC1/2への選択性と細胞内での標的結合の証拠が欲しいところです。

Structure-Based Design of Potent Pan-YTHDF Ligands ↗

AML向けFTO阻害薬の新規骨格、ピリダジン含有ニコチンアミド

  • ピリダジンを含むニコチンアミド67化合物のSAR展開から、最も活性の高いFTO阻害薬E6が得られ、MST、CETSA、DARTSで結合が確認されました。
  • E6はMOLM-13細胞に活性を示し、全体のm6Aを上昇させ、ASB2とRARAを増加、c-Mycを低下させました。
  • CYPに対する安全性とPKは許容範囲で、MOLM-13異種移植腫瘍の増殖も抑えました。
💡 ポイント

FTO阻害薬としては新たな系列ですが、注目すべきは新規骨格そのものです。FTOのケモタイプはまだ少なく、既報の多くは似た構造モチーフに頼っています。活性は中程度なので、E6は出発点と捉え、細胞での表現型を重視する前にALKBH5など他のAlkBファミリーに対する選択性を確認したいところです。

Discovery of Novel Pyridazine-Containing Nicotinamide Derivatives as Potent FTO Inhibitors for Acute Myeloid Leukemia ↗

原子1つの違いでCRBN分解薬がNSD2選択的からGSPT1選択的へ反転

  • NSD2分解薬LLC0424はGSPT1にも作用しますが、原子を1つ変えるだけで、NSD2選択的な424-NDとGSPT1選択的な424-GDという近縁の2化合物が得られました。
  • 424-NDは前立腺がん細胞でアンドロゲン受容体シグナルを抑え、424-GDは統合ストレス応答を誘導しました。
  • バイオレイヤー干渉法で標的ごとに異なる三者複合体の協同性が示され、シミュレーションでは安定な立体配座の違いが選択性の差を説明しうるとされています。
💡 ポイント

分解選択性を決めているのは二者結合の親和性ではなく三者複合体の協同性で、SARの表にまさに載せたいデータです。これほど近い一対の化合物は、NSD2とGSPT1のプローブセットとしてそのまま使えます。プロテオーム全体での選択性と、細胞内でも協同性の傾向が保たれるかを確認したいところです。

Single-Atom Modification Enables Reversal of Degradation Selectivity between NSD2 and GSPT1 ↗

アジド導入VEGFR2阻害薬、網膜に届く緑色光で活性が上昇

  • アジド基を導入したVEGFR2阻害薬EYE1090とEYE1118は、暗所でも強い阻害活性を保ちつつ、光照射で受容体への結合が促進されます。
  • 高齢者の網膜にも届く緑色光で、in vitroの血管新生抑制活性が高まりました。
  • 経口投与で、ラットのVEGF誘発網膜漏出を抑え、マウスの脈絡膜新生血管モデルで病変を縮小し、急性肝毒性は見られませんでした。
💡 ポイント

光スイッチにアジドを使うのは、古典的なキナーゼ骨格への小さく巧みな修飾です。魅力は空間選択性で、全身曝露しつつ光が集まる眼内でだけ活性が高まります。暗所活性がどこまで残るか(眼以外でのVEGFR2オフターゲット作用に直結します)と、光反応生成物の行方を確かめたいところです。

Three Nitrogen Atoms Turn Old Kinase Inhibitors Into New Targetable Remedy ↗

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業界ニュース

4件

CSL、Alentisの抗Claudin-1抗体lixudebartの共同開発に一時金3.55億ドル

  • CSLは抗Claudin-1抗体lixudebartの共同開発・共同販売のため、一時金3億5,500万ドルと最大12億ドルの販売マイルストンを支払います。
  • 利益配分はCSLが55%、Alentisが45%です。CSLは、ANCA関連血管炎に伴う急速進行性糸球体腎炎の進行中の第2相試験と、第3相試験の費用を負担します。
  • 巣状分節性糸球体硬化症と原発性硬化性胆管炎での第2相試験も計画されています。
💡 ポイント

第2相段階の資産で一時金3.55億ドル、利益配分55対45というのは異例に手厚く、CSLが腎臓領域の柱を本気で築こうとしていることがわかります。Alentisはロイヤルティではなく、実質的な経済的持分を保ちます。賭けの核心は腎臓と肝臓にまたがる多適応の展開で、1つのClaudin-1メカニズムで複数の線維化疾患を狙います。

CSL pays $355M to co-develop Alentis' phase 2-stage fibrosis drug ↗

GenmabのRina-S、白金製剤抵抗性卵巣がんの第2相で持続的な奏効

  • GenmabはADCのrinatabart sesutecan(Rina-S)の第2相RAINFOL-01試験で、前治療を多く受けた109例における確定奏効率45.9%を報告しました。
  • 無増悪生存期間の中央値は9.5カ月で、TD CowenのアナリストはAbbVieのエラヘアで引用される5.6カ月を明確に上回ると評価しました。
  • エラヘア既治療例や、FRα発現が低い・ない患者でも活性が報告されています。
💡 ポイント

試験間比較は後発の試験に有利に働くので、「明確に優れる」という表現は割り引いて見るべきです。それでも、FRα低発現例やエラヘア既治療例での活性のほうが重要な主張で、エラヘアの高発現限定の適応より対象患者を広げられます。ProfoundBio買収の妥当性を裏づける材料でもあります。

Genmab's latest phase 2 data spur claim ADC is 'clearly superior' to AbbVie's Elahere ↗

FDA、リリーのジャイプリカを未治療CLL・SLLの1次治療として承認

  • FDAは、ジャイプリカ(ピルトブルチニブ)を未治療の慢性リンパ性白血病・小リンパ球性リンパ腫に対して承認しました。
  • これにより、この非共有結合型BTK阻害薬の使用が後方ラインから1次治療へ広がります。
💡 ポイント

BTK市場の患者数が集中するのは1次治療であり、商業的に意味が大きいのはこの適応です。非共有結合型阻害薬が、共有結合型の既存薬と正面から競合することになり、勝負どころは忍容性と、Cys481との結合に依存しない点です。固定期間のベネトクラクス併用療法と比べて、保険者やガイドラインがどう位置づけるかに注目です。

Lilly's Jaypirca approved as first-line CLL therapy ↗

塩野義、IntraBioを20億ドルで買収へ。希少疾患薬アクネルサを獲得

希少疾患M&A
  • 塩野義製薬は、米オースティンのIntraBioを現金20億ドルで買収し、米国子会社の傘下に置きます。
  • 狙いは、ニーマン・ピック病C型で承認され、その後に毛細血管拡張性運動失調症でも承認された経口薬アクネルサです。
  • 買収の完了は2026年11〜12月の見込みです。
💡 ポイント

商用段階の資産を丸ごと買うのは、抗感染症の主力事業と提携に頼ってきた塩野義にとって転換点です。2つの適応を持つ希少神経疾患薬は、小規模な営業体制と明確なニッチで収益を積み上げられます。問題は、NPCとA-Tの先へ成長できるかどうかです。

Shionogi to pay $2B for IntraBio, a commercial rare disease biotech ↗